「あの子に残された時間は僅かだ。きっと自分でも気付いている。残された時間が僅かだと知りながら、それでもまだ大切な何かを思いやれるなんてな…。」




何も言えなかった。



大きなショックを受けたのと声に出せば色んな想いが溢れそうだったから…。




「自分の想いを花に託し、希望を捨てず、必死に生きている。もぅ俺達には何もできないのかもしれない。ただ…。俺は彼女に思わせてやりたい。“生まれてきて良かった”って…。」


『まだ、できるコトがあるよ…。』



チカは湧き上がる悲しい感情を押し殺す。




『あの子にメイクをしてあげて…。』


「できない…。」


『ケンならできる…。うんん…。きっとケンにしかできない。』