久しぶりの病院…。



敷地内にはキレイに列を成した幾つかの花壇がある。



ふと目をやると花壇の前には傘を差し、俯く様に花を見つめる車椅子の女の子が居た。



強く吹く風から花を守る為か、手には透明シートを持っている。



それを見たケンは持っていた傘とメイクボックスをチカに預け、花壇へと駆け寄った。




「シート…。貸してごらん。」



ケンは雨に打たれながらも花壇にシートを被せた。




「この花…。名前は?」



車椅子の女の子へ尋ねる。



「天雨花っていうの…。」



彼女は振り返り、微笑んだ。




あっ!



この子は確か…。



レイちゃんだ!



この間、会った時よりも痩せている…。



だから気付かなかったんだ。