「もぅ泣くな…。顔上げてごらん…。」



ゆっくり顔を上げるとそこには優しい貴方の表情があった…。



温かい手で私の頬に触れ、流れ落ちる雫を指でそっと拭う。



その雫は止まるどころか、とめどなく溢れ出す。




貴方は両腕を広げ、そんな私を優しく包み込んだ。




この温かさ…。



夢でもウソでもない…。




貴方の腕が…。



貴方の声が…。



貴方の香りが…。



ここにあって…。



ずっと追い掛けていた貴方の背中にそっと触れる。




絡まっていた糸が解けた様に温かく優しい貴方の胸の中で泣き続けた。




再び私の頬に触れ、瞳から最後の1粒を拭った貴方の手は涙を止めてくれる“魔法の手”だった。