入口に立ち、会計をしている背中に不安を感じながら待ち構えた。




『ありがとうございました…。』




優しい香りが目の前を通り過ぎ、背を向けた瞬間だった。



微かに聞こえてきた言葉…。




「この間はごめん…。」




ずっと苦しくて切なくて、必死に堪えていたものが溢れそうになった。



遠退いてゆく貴方の背中…。



手を伸ばせば届いたかもしれない。



追い掛けたかった…。



でも、そんな勇気は残っていない。



だから離れゆく貴方の背中を見つめるコトしかできなかった。




謝らなきゃいけないのは私の方…。



ずっと傷を癒しているつもりでいた…。



本当は傷付けていたのかもしれない…。