ニヘイさんとは付き合いが長い。



俺の5つ年上…。



一緒に仕事をするコトが多く、たまに飲みに行ったりもする。



それからバイク好きという共通点もある。



俺はブルーのTWでニヘイさんは年代モノの白いベスパに乗っている。



酒と女とバイクが好き。



一見、チャラ男だが仕事となると目付きが変わり“できる男”へと変貌する。





『あっ…。今何時ですか?』



ニヘイさんは袖を捲り、腕時計を見た。



「もぅ17時になるな。」


『やばっ…。行かないと…。』



ケンはフラフラの体を無理矢理に起こす。



「雪が降ってるからバイク気を付けろよ!」


『はい!お疲れっす。』




外に出ると12月中旬だけあって風は凍える様に冷たい。



17時を過ぎると辺りは真っ暗になる。




冬は嫌いだ…。



特に“雪”は…。



後悔を思う日は、いつも“雪”だった…。




ケンは覚束(おぼつか)ない足取りで駐車場まで行き、急いで吉祥寺へ向かう。