目覚めるとスタジオの休憩室のソファーで横になっていた。




「やっと気付いたか…。2時間も気を失ってたぞ。」



カメラマンのニヘイさんが心配そうに言う。



『すみません…。撮影は?』


「あれで最後だったから無事に終わったよ。」


『なら良かった…。本当にすみません。』


「それより、最近休みナシだろ?昨日もスタジオに泊まりだったし…。少しは休んだらどうだ?」


『大丈夫ですよ。それくらいの方が俺には丁度いいんです。立ち止まると辛いから…。』


「大丈夫じゃないからブッ倒れたんだろ。何でそんな頑張ってんだ?」


『忘れられない“笑顔”があるんです…。』



ケンは小さく深呼吸をし、顔を両手で擦りながら下を向いた。



「どんな笑顔だ…?」


『今までに見たコトのない最高の“笑顔”でした…。』


「そうか…。でも、仕事に影響が出んのは良くねぇよな。」


『すみません…。』


「仕事ってさ…。プライベートが充実して初めて良い仕事ができるんじゃねぇか?良いツラしてんのにもったいねぇ。俺が若かった頃は、ダチと合コンとかクラブ…。女遊びもガンガンやってたぜ?」



ニヘイさんは自信満々に腕を組む。



『俺…。そういうの興味ないんですよ。』