近づくと足音に気付いたケンはゆっくりと振り向いた。




「君か…。」




あの夜と同じ悲しい瞳…。




『あっ…、あの…。』



走ってきた息切れと胸を締め付ける様な緊張で言葉に詰まってしまう。



『あの日の質問の答え…。たくさん考えました…。』



黙ったままのケンに声を震わせながらチカが続ける。



『でも、分かりませんでした。』



ケンは背を向け、吸っていたタバコの火を消した。