高校の頃…。



将来の夢も取り柄もない俺は、取りあえずという安易な気持ちで大学へ進学…。



入学して間もなくメイクというものに出会い、その素晴らしさに魅了され、この道を選んだ。



その後、大学在学中にメイク専門学校へ入学…。



大学とメイク学校を平衡して通っていた。



共に卒業した後、美容部員という化粧品販売の職に就いたが人にメイクをするのではなく、化粧品を売る仕事…。



給料は良かったが、俺のやりたかった仕事ではなく、3ヵ月程で退職した。



その後、すぐにニューヨークへ渡る。



全くのノープランで…。



音楽・アート・写真・ファッション…。



世界中のあらゆるエンターテイメントが集まる街…。



ニューヨーク…。



世界中から多くの旅人が訪れ、あらゆる種類の人間が夢を求めてやって来る。




目的は世界的に有名なメイクアップアーティスト“ジェシカ”の弟子入りだった。



以前、彼女の作品集を見て素晴らしい高度な技術に感動を覚えた。




もちろん、簡単に弟子として認めてもらえなかった。



2日間に渡り、何度も弟子入りを頼んだがアッサリと断られた。



その2日間は寝床もなく、ガソリンスタンドの脇で野宿をして何とか凌いだのを今でも憶えている。