鏡…。



その存在自体を記憶の中から消したくて、病室にあるのは全て壊した。




傷を負う前までは何の躊躇いもなく普通に見ていた鏡に映る自分…。



今は自分の顔を見るのが怖い。




もぅ、あんな醜い顔なんて見たくない。





そんな私の恐怖を見透かした様にケン兄の優しい声が心に響いた。



『大丈夫…。』




再び右目を閉じ、震える右手で鏡を表に返した。




もぅ二度と見るコトなんてないと思っていた醜い自分の顔…。




ゆっくりと右目を開けて自分の顔を見た瞬間だった…。




右目から涙が溢れたの…。



あまりの嬉しさに涙が止まらなかった。