保育園の帰り。





サクラちゃんを間に挟んで、ゆっくり三人で手を繋いで帰る。



途中のいつもの公園が見えてくると、サクラちゃんは「ちょっとだけブランコいい?」と、由美ちゃんの返事も待たずに公園へと走って行った。






サクラちゃんが走って行ってしまって、俺と由美ちゃんの間にぽっかりと空間が出来る。





「もぉ!サクラったら!!...ごめんね、色々付き合わせちゃって...」





由美ちゃんが歩きながら俺に向かってそう言った。





俺は・・・その場に立ち止まった。





「...由美ちゃん。」





少し前を歩く由美ちゃんも足を止める。





「...智也くん?」





「...あのさ...さっきの話なんだけど...」





由美ちゃんは“さっきの話”が“引越の話”だと直ぐに気付いたのか、「...うん」と俯いた。