店を出てから、まだ保育園に行くには時間があるから・・・って事で、俺たちは保育園に向かう途中にある公園に寄った。
ベンチに並んで座って、チラっと左に座る由美ちゃんを見る。
さっきから俺たちと擦れ違う人が皆、由美ちゃんをチラっと見ていっていた。
さすがにそういう視線に気付いたのか由美ちゃんはずっと顔を真っ赤にしたままだった。
「...さっきから皆由美ちゃんのこと見てるよね」
「...う、うん。やっぱりあたしにこういうの似合ってないのかなぁ...」
・・・違うと思うけど。
「...由美ちゃん、よく似合ってるよ?マジで。」
「ほ...んと?」
「うん。ホント。」
「......」
由美ちゃんは急に俯いて黙り込んだ。
「由美ちゃん?」
そう声を掛けた途端、由美ちゃんの肩が小さく震えだすのがわかった。
・・・泣いてる・・・?
「ちょっ...由美ちゃんっ?!なに?!どした?!俺、なんかした?!」
「...がうの...違うの...嬉しくて...」
「...え?」
「あ...たし、今まで...ずっと色んなこと我慢...してきたから...
サクラに...可哀想な思い...させないようにとか...
お父さんに...心配...かけないように...とか...
ずっと...ずっと...自分を後回しに...してきたから...だか..ら...」
由美ちゃんはバッグから取り出したティッシュで目元を軽く押さえて涙を拭いて、
俺の方に顔を向けていつものふんわりとした笑顔で言った。
「智也くんにこうやって変えてもらえて、すっごく嬉しかったの。
似合ってるって言ってくれて、すっごく嬉しかったの。」
・・・あぁ。俺。
本当に由美ちゃんに惚れてるわ・・・
そう思ったら、勝手に俺の腕は由美ちゃんを包んでいた。