自動ドアを手で無理矢理開けて、薄暗い店内に入る。
営業前ってこともあって、スタッフはバックヤードにいるようで誰も店にいない。
「と、智也くん...美容院...勝手に入っていいの?」
「あぁ...いいのいいの。話してあるから♪ほらこっち来て座っててよ。」
不安そうにする由美ちゃんを座席に座らせて、俺はバックヤードに顔を出した。
「ねぇちゃん!!来たぞ!」
「あ。もう来たんだ?噂の彼女は?ドコドコ?ってか、可愛い?名前は?」
「いいから!!ってか、彼女じゃねぇーーし...時間内からちゃっちゃとやってくれよ。
...それと...」
「...それと何?」
「...余計な話はするなよ?あと...」
「ハハハっ!振られたくないんだ?可愛いトコあるじゃん♪
...で、あと、何?」
「とにかく...めちゃめちゃ可愛くしてやってくれ!!」
「フフフっ♪りょーーーかい♪」
・・・俺きっと顔真っ赤だろなぁ...
ねぇちゃんにこんな事頼んでるんだし。
ねぇちゃんはそのまま由美ちゃんの待つ店内に入って行った。