「……謝らないで。私は、大和の気持ちが知りたいの」

じっと見つめると、大和はやがて小さく笑って、ため息をついた。

「…色葉は鈍感そうに見えて、結構鋭いよね。…ほんと、余計なとこ気づくんだから」

静かに、大和が身体を起こす。

私は大和の上からどくと、床に座り込んだ。

「……余計なことじゃないよ」

なんで、そんなこというの。

自嘲したように笑う大和は、「余計なことだよ」と呟いた。


「………色葉を、困らせる」


思わず、目の奥が熱くなった。

…なに、それ?

「…困らないよ。困るわけ、ないよ」

そう言って、自分ではっとした。


…そうだ、困っていたじゃない。

あのとき、大和が告ってくれた言葉に、私、困った顔をしたじゃない。

…それで、あんな、大和に無理な笑顔をつくらせて……


「……色葉」

大和が、私に手を伸ばす。

私はぎゅう、と右手を握り締めると、左手で大和の手をつかんだ。