「いった…」

大和は顔を上げると、俯く私に向かって「なにしてんの!」と怒った。

「危ないじゃん!いきなり飛び込んでくるとか、なに考えてんの!怪我ない!?」

こんなときでさえ、私の心配をしてくれるらしい。


…もう、ほんと、むかつく。

「…………」

「ちょっと色葉、聞いてんの!?」

大和の胸に顔をうずめ、彼のシャツを握りしめる。

…もう、もう。

「…うるさい」

「は!?いや、色葉が飛び込んでくるのが悪いんでしょ!怪我したらどうすんだよ!」


…だって、逃げるから。

大和が、逃げるから。