純くんはおしるこを配っている人たちを見て、嬉しそうな顔をした。

「隠れてたんだよ、女子から。一緒にまわろうって言われてたから」

ちゃんと断ったんだけど、ともらったおしるこを持ちながら言う。

さ…さすが、学校の王子。


「他の男子にも、隠れてるから訊かれても俺のことは言わないでって言ってるし。ホントは男子とまわりたかったけど。しょーがないかなって」

そうだったんだ…

「大変だね…」

「いつもなら断らなかっただろーけどね」

え?

「じゃあ、なんで断わったの?」

純くんはおしるこを飲みながら、私を見て小さく笑った。


「…なんででしょーね」


…?

私がなにそれ、という顔をすると、「色葉はなんでひとりなの」と訊かれた。

「ちょっと…先輩の手伝ってたら、みんないなくなってた」

「…えらいけど、さびしーね」