「水野くん、うっまーい!」

…えっ。

見ると、男子のほうも驚いたように紙を見ていて。

そっちに目を移すと、私が持っていた筆が、はみ出さずムラもない線を引いていた。

…ええ…!

純くん、そんな才能あったんですか。

一部分塗り終わると、純くんは私に得意げな顔をしてきた。

「ど?俺は誰かさんみたいに、美術センスないわけじゃないんで」

「う…………」

む、ムカつくなぁ。

いわゆるドヤ顔ってやつも、顔が整ってるのがさらにムカつく。

「…意外」

「まーだ言うか」

ちょっと睨みながら言うと、純くんはニヤッとして筆を持つ。

そして、あろうことか私の頬に丸を描いてきた。

…赤い、絵の具で。


「ぶは、間抜け顔!」

「なっ、なにすんのー!!」


うわー!!と私が叫ぶと、純くんは楽しそうに笑う。

…ちょ、ちょっとぉ。

そんな顔見せられたら、ニヤついちゃうじゃないですかー!!

顔に絵の具つけられて嬉しそうにしてるなんて、それただの変な人だからぁ!