「お、大和」

純くんは私越しに、「やっほー」と大和に声をかける。

呼ばれた大和は「やっほー」と小さく笑って返しながらも、手を動かすのはやめない。


「優秀だな、誰かさんと違って」

ニヤニヤしながら、私を見てくる純くん。

「どーせ下手ですよーだ。…そう言う純くんも、たいしたことないくせに」

唇を尖らせて言うと、純くんは私の手から筆を奪った。

「えっ、ちょ」

「見てろよ、俺の実力を!」

…ええ。

三組の委員のふたりにも「ちょっと見てて」と言って、純くんは筆を紙の上につける。

男子とはもともと知り合いなのか、「純、バカだろ」とか言って、笑いあってる。

女子の方は純くんに声をかけられたことが嬉しいのか、ニコニコとしていた。

…かわい〜。

私もあんな風にできたらなぁ、なんて思っていると、その子が「わぁ!」と歓声にも近い声をあげた。