私も、苦手なことを長時間するのは疲れる。

けどやっぱり、大和は飽きた様子もなく、淡々と塗っている。

「…すごいね、大和。飽きない?」

「あんまり。嫌いじゃないしね、塗るのは」

僕達がやってるのは塗りだけだし、と大和が笑う。

この看板の下絵は、美術部のバザー委員の女子が描いてくれた。

それを、私達がありがたく塗っているわけなんだけど。

私は、その子が下絵を描いているときのことを思い出して、小さくため息をついた。


…その美術部の子は、二組の子で。

つまりは純くんと、同じクラスの子。

それがまぁ、ほんと可愛らしい女の子でありまして。

仲良さげに話すんですよ。


『絵上手いなぁ(爽やかスマイル)』

『ありがとう(はにかみ)』。


…ってね…………