もう、素直になるしか無い―――。
「妬きました」
「はい、素直でよろしい」
幼い子供を褒めるようにして、クレープを渡してくれた。
それを受け取り、一口ずつ食べる。
手作りかな?
皮の厚さが若干違うとこがあるけど、おいしい。
「…… 食べずらいんですけど」
「気にしないで。 ヤキモチ妬いて、クレープを食べている紗雪ちゃんを見ているだけだから」
「もーう!! そんなに見ないで下さいよー、恥ずかしいじゃないですか」
さっきからずっと、肩ひじをついてあたしを見つめるその視線が痛い――― 痛くてしょうがない。
一体なんだっていうんだろう?
やっと二人で過ごせる休日なのに……。
「紗雪ちゃんがヤキモチ妬いてくれて嬉しかったよ」
松田さんはにっこり笑い、少しだけ首を傾げた。
「妬いてないです」
視線をそらし、そう答える。
さっきまで素直だったけど、こうやって何回も“ヤキモチ、ヤキモチ”と言われると癇に障る。