「あーあそこの店って高くない?指輪結構すんの!知ってた?」

歩きながら子供みたいに指差して、にこにこ笑って話しかけてくる彼を私は無視する。

「ちょーっと!聞いてる?」

どんどんイライラが増してくる。


彼の前では、可愛らしく振る舞えない。
いや、本音を見せれない。

「あ!あそこのレストランここにもあるんだー!あそこのパスタすっげーうまいんだよ」

お洒落な外国風のレストラン。

男友達となんて来るわけないよねっ…

泣きそうになった自分を隠したくて、また私は冷たくする。


「っていうかさ、疲れた。なんか飲みたい」