生首に見えたのは

机の上に尖った顎をのせて、下唇を突き出し、じっと俺を見上げている、ヤスだった。

ヤスは中学以来のツレだ。
短く刈り上げ髪を金髪に染め、細い眉に斜めに傷が入っている。

ちなみにこれは、喧嘩で付いた勲章とかそう言った類いのものではなく、眉を剃り込むときに本人がうっかり付けた傷だ。

一重で切れ長の鋭い目に、薄い酷薄そうな唇。

耳に3つ、鼻に2つ。シルバーのピアスが光っている。


一見人相が悪く敬遠されがちな男だが、実際は寂しがり屋で傷つきやすいガラスのハートの持ち主だ。

扱いづらく、面倒くさく思うこともたびたびあったが、昔から気はよく合った。

「ふーん」

ヤスは中腰のまま机に肘をついて森口を見た。

「何だよ」

口を尖らせて睨むと

「いや、別に。なるほどね」

うんうんとヤスは頷き、俺の肩を叩いた。

何だか知らないが勝手に自己完結しているらしい。

ヤスの見透かしたような目にイライラが募った。