「…………はあ?」

俺はマヌケな声をあげて、彼女を見た。

森口カンナから、解離?

オリジナルである藤森アンナからじゃなくて??

「あら?よくあることよ。必ずしも基本人格から交代人格が生まれるわけじゃないの
交代人格が新しい交代人格を生むこともあるのよ」

俺の疑問を読み取ったかのように、レイナはそう言うと、ますます身体を密着させた。

む、胸が。ささやかな胸が当たっている。

人気のない場所で、必要以上の密着。

さらに外見は森口。

これは、色々、ヤバい。

「解離って。よくわかんないんだけど。
どうしてそう言うことになんだよ?」

言いながら、さりげなくレイナから身を引く。

しかし、レイナは構わずぐいぐい身体を押し付けながら頬を膨らませた。

「カンナはね。私を捨てたのよ」

「捨てた?」

「そう。
カンナは私が邪魔になったの。
妖怪バハアに嫌われたくないからって、私を自分から切り離したの。
ヒドイと思わない?」

「………ヒドイというか
俺的には森口とあんたが一つの人格だったって事実の方が信じられないんだけど。
あんたとあいつじゃ全く性格違うし」

正直にそう言うと

「あっはー」

レイナはさもおかしいと言いたげに笑いだした。