今、思えば、篤志に劣等感ばかり感じていたのかな。
あんなにたくさんの顔を見せてくれた英志くん。
よくわからない篤志。
どん底にいたあたしに光をくれた英志くん。
嘘を突き通す篤志。
いつでもあたしに誠実に向き合ってくれた人をあたしは今失おうとしている。
アパートの階段を半ば引きづられるようにして上る。
部屋に入ったら、後戻りできないことぐらい馬鹿なあたしでもわかる。
だから、もう今度は迷わないよ。
あたしには、一人しかいないんだって、わかったから。
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