「俺はもうその腕を掴まない。千雪さんが、来てくれるの待ってる」
まるで、あたしの弱い心を見透かしたように言い放った。
「千雪、気にするな」
篤志の英志くんへの態度は冷たくて、あたしは篤志のことを知らなかったんだろうなと気づかされる。
前に進むたびに、よぎる思い出。
きっかけは、篤志にサプライズしようとしたことだった。
第一印象は最悪で、篤志と比べてたっけ。
学校帰りに無理やり買い物付き合わされて、キスされた。
実は、バーテンしててそこでも会ったね。
雨に濡れたあたしを助けてくれたのも、英志くんだった。
いっぱいいっぱい傷つけられた。
だけど、そこには英志くんの優しさと想いがあったんだ。