「千雪さん、」


「千雪、行こう」



引っ張られた手。無理やり動いた足は鉛のように重い。



ひたすら真っ直ぐにあたしを追いかけるその瞳とすれ違う。



あのときみたいに腕を掴んでよ。

そしたら、あたし・・・もう迷わないのに・・・。

自分勝手なあたしを許して。




そして、あなたはこう一言言った。



「好きになって、ごめん」



謝ってほしくなんて、なかったのに・・・。