「何しにきた?」


先に口を開いたのは、篤志。


「何って見てわかんない?・・・略奪しにきたんだよ」



迷いのない鋭い瞳で貫かれる。
英志くんは、あたしを見ていた。



「お前、懲りないな。悪いけど、千雪はお前にやれない」


篤志の手に力がこもる。

あたしは、どうしたらいい?

何を信じたらいいんだろう?



手を強く握り返すことも、足を進めることもできない。