「ある。千雪さんは泣いてた。…だから、俺が弱ってる千雪さんにつけこんだ、それだけ」


「お前には関係ないだろ」




「だから、あんだよ!俺は、あの人が好きだ」



冷静でなんていられるかよ。
俺は、千雪さんを渡したくない。
彼女が俺を選ばなくとま、今は今だけは譲りたくない。




「高校生のガキが相手にされるわけねえだろ」


兄貴のその一言が俺の胸を抉る。
高校生だろうと、大学生だろうと相手を想う気持ちは変わらない。
だから、俺はもう諦めない。




「相手にされなくても、俺は千雪さんが欲しい」


「バカか。お前と俺、どっちが付き合うメリットあるかバカでもわかる。金輪際、千雪と関わるな」


そう言って切れた電話。