「なんで、あそこにいたの…?」

お風呂から上がって妙な沈黙が流れた。
それを打ち破ったのは、あたし自身だった。

ベッドは一つしかないし、照明もいやらしい色をしている。
そんな中で、あたしたちはわずかに距離をとっていた。



「…譲さんとこに、挨拶いこうと思って」


珍しく寡黙な英志くん。
なんだか、調子が狂う。
彼は一体いくつの顔を持っているのか…


「そっか…」


泣きはらした目元がヒリヒリと痛む。

また訪れた沈黙が、またフラッシュバックさせる。


嫌だ!信じたくない!
また、溢れそうになる涙。