百合花はちょっといってくると、桃子さんの後をついていった。 つまり、あたしは一人取り残されたわけで。 「はあ…」 相変わらずの爆音。 飲む気にも、食べる気にもなれなかった。 隅っこのテーブルにヒジをつき、ため息をこぼす。 なんで、あたし来ちゃったんだろう。 あれ、あの時計… あたしの目に飛び込んできたのは、女の人の肩に置かれた手首。 そして、某有名ブランドの時計。