アナタを やっと見つけた――… ************ 「……チッ」 「社長…。舌打ちはやめましょう、舌打ちは」 俺の秘書の川崎が苦笑いで後部座席に座る俺に注意する。 俺は聞こえていないかのように、黙って窓を流れる風景を見ていた。 今は雪が舞っていて、海岸沿いのこの路は不似合いな俺の車しか走っていない。 「あ…」 ―――まだ、いた。 「……?社長?何か…」 「車を止めろ」 「はいっ?!」 俺の言葉に慌ててブレーキをかける川崎に、「危ないだろ!」と怒鳴りつけ、そのまま車を降りた。 .