とおる

そのに。

今日は、確か…朝練がなかった気がするけど、とりあえず顔出しとこうかな。

まあ、顧問の先生に言いたいことがあるのが2割と先輩に会いに行くのが8割。

あ−、先輩いますように。





「しつれいしま−す…」



バンッ



そんな音が聞こえてはっとする。
(゜ロ゜)←こんなかな…？


自主錬してる人いんのかな？



「前田せんせぇいますか？」

前田せんせぇとは前田先生のこと。
フルネ−ム知らなかったり。

前田せんせごめんね。

1つ紹介しとくと、
弓道部の顧問であたしたち1年2組の担任。

あ、高校生ですよ。
紹介忘れてましたごめんなさい。

まあ、簡単に言うとすごい面白い先生です。



『あ、とおるちゃん？
前田は職員室にいるよ−−』

…この人があたしの大好きな成宮先輩。



「…とおるって呼ばないでくださいって」

先輩のことは大好きだけど、よくからかってくるところが先輩の短所。



『え−、おれは好きだけどなぁ。
とおるって名前。』

「男の子みたいで嫌なんです。」

あたしがそういうと、“おれだってこのみなんて女っぽくない？”

まあ、確かに…
でもあたしは男の子がこのみでもありだと思う。

あ、みんなもとおるって名前女でもありだと思ってんのか。



「じゃあ、お互い様です。」

え−。と口を尖らす先輩を見て、キスをしたくなってしまったのは…なにゆえ!?

あたしまじ気持ち悪いんですけど。



「あ、そだ。
前田せんせに今日部活休むって言っといてください。」

『なんで、おれに任せんの？
職員室行きゃ−いいじゃん!』



あれ、なんか切れられた。

もちろん“めんどくさいからお願いしますよ”なんてことは言えず…


「…そうですね。すいません」

――じゃあしつれいしました。
――うん、またね。



そんな会話をして道場をあとにした。

…はぁぁぁ
もうちょっと先輩といたかったなぁ…な−んて…。