『……どうした、』
「ぁの、すみません、やっぱり怖いって…言い出しまして、」
ナース服の裾を握り、溜まっている涙を流すまいとしている秀人くん。
『はぁ、じゃぁ、お前もCT室に入れ。』
「……は?」
一瞬、私は何を言われたか、分からなかった。
『……だから、坊主のために、お前も中に入れと言っているんだ。手でも握っときゃぁ、少しはマシだろ。』
「は、はぁ、」
私は全然構わないけど……それでいいのかな?
少しの不安が残る。
『おい、坊主!姉ちゃんと一緒だったら、怖くねぇよな?できるよな?お前も男だろ?』
『………』
浅井先生の問いかけに答える気配を出さない秀人くん。
やっぱり、私じゃ力不足なんじゃ…――
『うん。ぼく、がんばる!』
「ぇ」
『よし。よく言った、坊主。じゃぁ、金属類はこのかごに入れて中に入れ。』
服に付けていた人気のアニメキャラが映っているバッチを取ってCT室に入っていく秀人くんを見て、嬉しくなった。
私がいれば、頑張れるってことだよね?