『そのひとのこと、あゆみおねぇちゃんはすきなの?』
「へっ!?」
いきなり図星を子供である秀人くんに突かれて裏返った声が出てしまった私。
おかげで周りの視線が一気に私に集中してしまった。
『ぼくより、そのひとのほうがすき?』
愛くるしい秀人くんの瞳。
そんなに見つめられちゃったら……、
「な、何言ってるの、秀人くんっ!お姉ちゃんは秀人くんのこと大好きだよ?」
『ぼくよりすき?』
「っっ……」
完全に困った。
周りの人たちの視線も痛いけど、一番痛いのは秀人くんの悲しそうな瞳から注がれる視線だ。
そんな、選ぶことなんてできないよ……。
「…、秀人くん。」
秀人くんの目線と重なるようにしゃがんで、秀人くんの手を取る。
「お姉ちゃんはね、好きの度合いなんて関係ないと思うの。秀人くんのことが好き、だけどそれと同じくらい好きな人もいるの。どっちが好き、なんてお姉ちゃんには選べないわ。だって、2人とも大切で、大好きだから。この答えじゃ、駄目かな?秀人くん。」
秀人くんには分かってほしい。
人への思いは、簡単に天秤で量れるようなものじゃないって。