なんでか自己紹介をしている浩貴。


 別にする必要ないと思うんだけどね。



「浩貴くんね。オレはここに勤めて3年目の滝沢健人です」

「滝沢・・・さんですね。コーヒーうまいっすね」

「ありがとうございます」


 なんだろう。

 笑顔に闇が潜んでそうな顔してるなー、浩貴。


 こんなこと見抜けるの、私だけですよ、きっと((ドヤッ


「麻友ちゃんの彼氏、カッコイイねー。まぁ、麻友ちゃん可愛いからカッコイイ彼氏が妥当なのかな?」

「か、可愛くないですってば」

「はは。謙虚だな~。じゃぁ、ごゆっくりどうぞー」


 明らかなる、からかい。

 こういうのやめてほしい、すぐドキっとしてしまうんだから。


 浩貴のせいで、男子とあんましゃべんないから、男子に免疫つかないんだよねー。


 全くもう。



 もったいないと思っていたカフェラテは飲み続けて、空になりかけだった。


 最後の一口をグっと飲み干す。



 その時、視界の隅っこで浩貴のコーヒーが動いた。


「・・・・・・あっ!」

「あつっ!!」

 浩貴のコーヒーは傾いて、横倒しになって、副会長の指にかかった。


 コーヒーは湯気をあげていたから熱いはずだ。


 副会長は熱さに顔を歪めた。


「楠木悪いっ」


 浩貴はすばやくブレザーのポケットからハンカチを取り出すと、副会長の指を覆って、自分の手でハンカチと副会長の指を包んだ。

 ・・・チクッ。


 明らかに、今、なんかきた。