「春川さん、やめてよ。頭上げて」

「うん。あっ、私も胡桃でいいよ」


私は顔を上げながら、笑顔で言う。


「オッケー!っていうか渉が言っていた通り、胡桃ちゃんって可愛いね」


渉くんが?

ウソッ!?


「そ、そんなことないよ!」


っていうか、陸くんも、今の何を見てそう思ったのか、わからないが。


“可愛い”なんて言われ慣れていない私の顔は真っ赤になる。


どうしたらいいのかわからずにいると


「あっ!繭花と若菜の応援行かなきゃ!!陸くん、本当、助けてくれてありがとうね!」


繭花と若菜の応援に行くことを思い出す。


「おう、気を付けてな」


私は真っ赤になったまま、おもいっきり走って体育館に向かった――…