私が歩き出そうとすると、渉くんは私の腕を掴まれた。


えっ?


何で掴まれたのかわからず、私は渉くんを見る。


「ごめん。今から帰るから」


渉くんは私を見ずに、その女の子に向かって素っ気なく言う。


「えっ?じ、じゃぁ、これだけでも受け取って欲しいの」


渉くんの言葉に驚いた女の子は、持っていたプレゼントだけでも渡そうとする。


だけど


「俺、胡桃以外から受け取る気ないから」


渉くんは、はっきりそう言う。


その言葉は、すごく嬉しいのだけど。


怖くて顔を上げられない。


だって、睨まれている気がするから。


いつも、睨まれたりしているから、被害妄想なのかもしれないけど。


「胡桃、帰るよ」


渉くんは私に声を掛けると、私の腕を引っ張り歩き出す。