そして、放課後――…


「胡桃、帰ろう」


渉くんが私の席まで来る。


「うん」


立ち上がり、渉くんと一緒に教室を出る。


廊下を歩いていると


「五十嵐くん……。ちょっといい?」


声を掛ける一人の女の子。


手にはプレゼントらしき物が。


そして、その女の子の視線は私に向けられる。


邪魔だと言いたいのであろう。


視線だけで感じる。


「わ、私……、先に行ってるね」


本当は、女の子を断って、私と一緒に来てほしい。


だけど、そんな事は言えない。


だから、私は先に昇降口に行こうとする。


だって、こういう現場は見たくない。