悠斗は訳がわからないといった顔で、照をポカンと眺めていた。
お前にはわからねぇよなぁ、多分。
なんせバカだから。
「お前さぁ、いつまでそうやって意地張ってる気?
あいつ……名前なんだっけ?
死んだお隣さんの彼氏。
あいつと話したんだろ?」
仕方がないから、こいつの気持ちの整理整頓を手伝ってやることにする。
俺って優しい。
あいつ――冬以は、彼女が死んだのは悠斗のせいだと言って責めた。
どう考えても完全なる責任転嫁だ。
けど人間の心なんて、自分たちが思っているほど頑丈じゃない。
冬以の『逃げ』は、窮地に追いやられた果ての自己防衛だったと俺は思う。
死んだヤツのことを悪く言うのはあまり気持ちのいいものじゃないが、冬以の彼女が一番、弱くて、身勝手で、他人のことをまるで考えていなかった。
まぁ考える余裕があったら自殺なんかしないだろうけど。