俺がこんなにも必死になっているのは、他でもない『お前』の為だ。
中途半端なことばかりして、自分で自分の首を絞めて苦しんでいる、バカで格好悪いお前が、どうにも痛々しくて見ていられないだけだ。
「お前、やっぱバカだわ」
冷えた視線を落としてもう一度吐き捨てた。
ボコられた酷い顔はもう見飽きたので、何気なく周囲を見渡せば、背後に立っていた照と視線がぶつかった。
「瀬那くん、グッジョブ」
言いながら照は俺に拳を突き出す。
思わず口元を緩めながら、自分の右拳をそれにコツッと軽く当てた。
「クソ照。ふざけんな」
まだ大の字で寝転がったままの悠斗が、苦々しく毒づいた。