「あ、斎藤さんお早うございます」


「…お早う」




縁側の近く、見える庭にボーっと立っていた斎藤さんを発見。




「何かあったんですか?」


「桃の、花が…」




澄んだ目線を辿ると淡いピンクの蕾があった。




「もうすぐ春なんですね」




現代ではまだ雪のちらつく毎日だったのに、此処ではもう鳥の(さえず)りが聞こえる。




「…春、嫌いか?」


「いえ、好きですよ。
斎藤さんは?」


「あぁ…俺も好きだ」




その表情はどこか優しく見えた。




「そんなカンジします」





なんだか斎藤さんといると時間の流れが遅く感じるなぁ〜。



このゆったりした雰囲気が…





「うっせぇ!!!」



…雰囲気が…。




「だぁぁぁあ!!」





………。




こ の 声 は 。