「あ、ありえねぇ…」


「そりゃ俺のセリフだ」


「本能的に追いかけられたら逃げちゃうんだよ」




ヒヤリと冷たい床へ座り込む。



マジで追いかけやがって。


大人気ない野郎だ。




「アホか。
此処じゃ逃げたら負けの世界だ。
あるのは…刀を握ることだけだ」




立ったままの土方が木刀を手にして飄々(ひょうひょう)とアタシを見下ろし、ニヤリと笑う。



え、何、この人アタシと打ち合いたかっただけな感じ?


その為だけにアタシ走ったの?


バリバリ損じゃん。




「…逃げるか?」




まぁ体を動かしたいし丁度いいか。



それにそんな挑発されたら…




「上等」




やるっきゃないっしょ。