「きれい、って言うよりは。かわいい、ってかんじで。ねーっ」

先生に同意を求めるように首を傾げ、先生を見上げるクラスメイト。

「きゃーっ」

「やだーっ」

「彼女?」

「えーっ、絶対そうでしょ」

先生の周りで上がった、色のついた生徒の声。


胃がキリキリと痛み出す。


「あー、ほら。もう、いいから」

先生は口元を隠していた教科書を、華乃たちを追い払うように動かした。

隠れていた口を、きゅっと結んでいる。


「………、」


胃が、キリキリと痛む。

先生の、そんな表情は見たくなかった。


照れてるの?

照れてるんでしょう?


「………、」


のどの奥が熱くなった。

目の奥も。


だめ。

ダメだ。


ここに立っていることが耐えられなかった。

わたしは急いで女子トイレに駆け込んだ。