あたしのくだらない毎日。

学校には遅れず登校しているけど学校に楽しみのひとつもなく…
なんとなーくで生きていた。

授業中もいっつも上の空。

最初、先生方はあたしに注意してくれてたけどもうそれもなくなって、あたしは本当に孤立していた。


今日も誰とも話さず、ただただ空を見ている。

もうすぐ5月が終わる。






「えー、今から球技大会に出たい種目を集計取るから!
 この紙に出たい種目と名前を書いて前の教卓に提出してね」

総合の時間。
クラスの体育委員が大きな声で皆に促す。


正直、あたしは運動は得意なんだ。
だからなんでもよかった。


「はい、安達さん。安達さんもこの紙にやりたい競技書いてね?」

そう言って渡された真っ白な紙。


何も言わず受け取り、どの種目にしようか迷っていた。


バレーボールにソフトボール。
ドッジボールに綱引き。



悩んだ挙句、ソフトボールと書いた。
小学校のころ習ってたっけ………


そしてそれを前に提出し、また自分の席で外を見る。



ふと視線を運動場に移すと、見たことのない男の人がいた。
その人はジャージ姿でどうやら花壇に水やりをしているようだった。


「ジャージ姿で水やりってかわいい……」

思わず見ていて笑っちゃった。


誰が水やりしてるのか気になってずーっと見ていた。

体育委員が話をしていることよりもそっちに集中しちゃって。







しばらくしてフワっと風が吹いた。

その男の人は帽子を被っていたけど、風によって宙に舞う。
その人は驚いた声をあげ帽子を追いかける。

もうその人の行動そのものがおかしすぎて素直に笑いが出た。


笑った瞬間「え…………」って。










おもしろい男の人は、そう。
山口先生だったの。