「安達ー。もうお前と放課後に勉強しだして1ヶ月じゃな!」

「本当だあ。でも成績上がんないよー」

そう。1ヶ月も勉強しているのに全くと言って言いほど成績は低迷…。
そろそろ自暴自棄になっちゃいそうだよ。


「成績はな、3ヶ月必死に勉強したら上がるって言われてるからな。
 俺を信じてあと2ヶ月勉強してみろ」

「うん。でもさ、先生は数学の先生なのに何で英語も出来るの?」

「先生ってのは全部できるんですー♪」

「嘘だ!弱点ぐらいあるじゃろ?」

「ってお前!先生に向かって何という言葉遣い!」


こんなくだらない会話が好き。
いや、正確には好きになった…かな?

誰とも話さなくなってからいろんな感情が欠落してるんだな。

自分でも分かる。


そんな事を考えていたら今の自分がおかしくてフフって笑っちゃった。


「安達、お前笑えるんじゃん」

「え?」

先生の一言はあたしの心にグサっと突き刺さる。


「俺さ、お前がいつも一人なのも知ってるよ?
 友達を引き付けていないっていうか、友達要らないオーラ全開だよなw」

「どうして…分かるの?」

「お前の先生だから」

「…でも先生。今のは語弊があるよ。
 あたしだって笑うときは笑うよ?」

「それは笑いじゃない。作り笑い…だろ?」


「え?」


今のあたしは全て先生に見透かされている。
瞬時に理解した途端、怖くなって凍りついた。


「お前、昔は明るい子どもだったんだろ?
 なのに何でお前はそこまで暗くなった?笑わなくなった?」


「ちょっと待ってよ。昔の事なんて知らないくせに知ったように言わないでよ!」

「知ってるんだよ。俺は」


言っている意味が分からない。
先生と昔に……?会った?????


分からない。

思い出せない。