心から笑っているように、俺には見えていた。
彼も、片平も。


俺の卒業から、彼らの卒業まで1年間。
放課後はよく一緒に過ごしたし、
昼間は屋上で、2人で過ごしていたらしい。


何も変わらずに今まで通り。

それを俺は望んでいたし、きっと彼らもそうだった。


なのに彼らの卒業間近になった、まだ寒い日の事。
いつも通りの屋上から、いつの間にか片平は居なくなった。


寝転がって空を見上げてぼーっとして。
ふと横を見ると、そこには誰の姿もなかったそうだ。

そして下の方から聞こえる悲鳴に、彼は心底驚いた。


別に片平が飛び降りると思っていたからじゃなく、普段人の悲鳴なんて聞く機会がないだからだそうだ。


生まれて初めて聞いた本気の悲鳴に、柵から身を乗り出して地面を見た。
その時の彼は驚いていたのか、俺は知らない。