あの頃よりも1人増えて、
そのせいで数倍騒がしい時間が過ぎる。
「じゃ、帰ろうか」
暗くなる前に、と立ち上がる恋人に、僕は言う。
「やっぱり明日なんて来なくていいかも」
「何それ、俺よりコイツらといる方がいいって事?」
拗ねたように、心配そうに、こちらを窺う彼に笑う。
そうしたら彼も、向かいに座る彼らも笑った。
きっと、今僕が考えている事は、
あの頃よりもずっと伝わりやすくなったんだろう。
明日が待ち遠しいと同じように、今がとても愛しい。
このままずっと続けばいいと願う僕は、やっぱりあの頃のままかもしれない。