「暇ですね」
「じゃあ教室行けば?」
「……今さら入れる訳ないですよ」
そう言ってため息を吐くと、
彼はコンクリートに寝そべった。
彼の相方である片平(かたひら)は、
今日は珍しく、まだ来ていないようだ。
最初は2人とも俺に懐いていたのに、
いつの間にか2人がやたらと仲良くなっている。
ちょっと焼きもち。
「意外とさ、普通に、なんでもない顔で
黙って行けば、受け入れられるかもよ」
例え今が授業中でもさぁ。
「じゃあ先輩は出来るんですか?」
「無理」
顔を見合わせて笑う。
俺が、教室に行く訳でも無く
それでも登校してきているのは、
ただ、彼と会うためだ。