納得した彼は、数日前のように仕切りのカーテンを閉めた。


それと同時に口も閉じたらしく、数日間降り続いた言葉の雨が止む。




少し暗くなっただけの視界と静けさに、何かがざわめく。
僕の中は逆にうるさくなっていく。

その感覚は少し前に味わったものだった。


不安やそんな感じの何か。
それを詳しく知っていたなら、僕はこうしていなかっただろう。

焦燥感に駆られた僕は、カーテンを開けようと手を伸ばした。



「寂しかった?」

「…………、」

カーテンを開く事はなく、
その声と同時に、伸ばした手は布に包まれた。

向こう側から伸ばした彼の手が、カーテンごと僕の手を掴んだからだ。




片手を握ったまま、もう片方の手でカーテンを開けてきた。

そしていつものように話し出す。



「俺ね、もうちょっとで退院するんだよ」

居なかったら寂しい?と尋ねてくる彼。



「寂しいよね?うん、解るよ」

また勝手に頷いて納得している。


「通院はしなきゃいけないし、ついでにお見舞いに来たげるから安心するといいよ」

大丈夫、と笑いかけてくる。