「……拗ねないで下さいよ」
彼が小さく笑いながらそう言った。
「別に、拗ねてる訳じゃないよ」
「はいはい、その内解りますから」
今は我慢しててくださいね、と目を細める。
そういう顔をすると、時間が経つのは早いなと思う。
あの頃はまだ、2人で何か企んでいると悪戯をする子供にしか見えなかったのに。
そしてそれにひっかかるのは悪ガキの俺だった。
口の堅い彼らには、待つしかないだろう。
その内はいつ来るのか、待ち遠しくて仕方がない。
最近、片平はまた嬉しいような困ったような顔をする事が増えた。
俺がそれを見るのは、3人でいる時に彼らが2人でメールをしている時が多い。
本当に、2人は仲がいい。
片平に訪れている何か。
それが出来る限り、彼にとって良い事であるよう俺は祈る。