屋上と言っても校舎は2階建てで、幸い片平は怪我をしただけで無事だった。

それでも暫くの入院が必要だったけれど。

見舞いに行くたび彼は嬉しそうに、けれど困ったように笑っていた。


卒業式の日も、

「何にも変わりませんね」

そう言って笑った。


片平の言うとおり、何も変わらない日々は、彼が退院してからも、もちろん続いた。


3人でただただ、とりとめのない話をする。
片平はそれを望んでいるのだと、俺は思っていたのに。

密かに悩む俺の腕に、何かが触れた。